薬剤

ご存知の通り、医師が処方する薬剤は何千種類とあります。中耳炎、副鼻腔炎、咽喉頭炎などに用いる抗生剤も非常に多岐にわたり、効く菌や効き方に違いがあります。細菌検査を行い、それぞれに適した抗生剤を適した用量で適した期間投与することが肝要です。抗アレルギー剤にも効く仕組みの違うものが多々あり、使い分ける必要があります。また、耳や鼻、口への局所投与はもちろん耳鼻科が得意とするところです。病気は患者さん1人1人で異なります。それぞれの患者さんに適した薬剤を用いる個別化医療は、治療の基本です。

個別の薬剤

鼻アレルギーへの舌下免疫療法

通常の抗アレルギー剤は、症状を抑える対症療法です。これに対して舌下免疫療法は、そのアレルギーの原因(スギ花粉またはダニ)に体を慣らすことで症状を和らげ、根本的な体質改善が期待できる治療法です。治療薬を1日1回5分間口に入れるだけの簡単な方法ですが、毎日続ける必要があります。数ヶ月後から効果が期待できますが長期にわたり最大の効果を得るには3~5年かかります。じっくりと取り組むことのできる方にはお勧めです。

まったく新しい鼻の薬、抗体医薬

鼻水、鼻づまりの薬はいろいろありますが、十分に効果が得られていない方もおられます。そういった方々に朗報です。ここ1-2年で全く新しい、抗体医薬とよばれる薬が鼻の分野に登場しました。花粉症に対する「ゾレア」、鼻茸を伴う副鼻腔炎に対する「デュピクセント」です。いずれも、通常の薬が十分に効かない場合にも大きな効果が期待できる注射薬です。自己負担額は安くありませんが自費ではなく保険診療です。手術をしても再発した場合にはこれが最後の手段ですし、大事なお仕事や受験の際に注射する、という選択肢もあるかと思います。

鼻の抗体医薬

補聴器

補聴器の種類は、形だけだと思っていませんか?確かに、耳の穴の中にだけ入れるもの、耳たぶに引っ掛けるもの、ラジオのようにポケットに入れるもの。もちろんこれらも使い分けに大切ですが、それ以上に「その人それぞれの聞こえに必要な補聴器を選び、適切に調整する」ことが重要です。どの高さの音をどの程度良くするのか、どのような音を雑音と判断するか、周囲の音も感じるか前だけに集中するか、など様々な要素を複合的に判断する必要があります。また補聴器は眼鏡のように装用してすぐ100%の威力を発揮するものではなく、慣れと再調整をきめ細かく行わなければなりません。この過程を経て効果を実感されてからご購入されるべきと考えており、それまでは無料で貸し出しを行います。 なお難聴の半分は遺伝子によるものであり、その遺伝子の種類によって難聴のタイプや補聴器の効き方が異なります。当院では保険診療による遺伝子検査を行い、補聴器診療に生かします。

それぞれに合った補聴器を

耳鳴り音響療法、TRT

つらい耳鳴りで悩んでおられる方は多く、人口の約3%(350万人程度)と言われています。しかし、耳鳴りに効くとされる薬は非常に限られるのが実情です。聞こえは脳で感じるのですが、脳は「気にしなくていい音(冷蔵庫の音など)」と「気にしなければいけない危険な音」を感じ分けます。難聴や脳のストレスでこのバランスが崩れ、脳が危険な音と認識してしまうようになると耳鳴りが生じます。これは脳へ入れる音を調整することで治療が可能で音響療法(TRT)といいます。補聴器のような機械を用いますが購入は効果を実感されてからです。脳を変化させてしまうには半年から2年程度の時間が必要な場合があり、ゴールは「耳鳴りがあっても普通に生活すること」になりますが、世界的には一般的な治療です。選択肢の一つに考えてみてください。